書籍紹介と地雷のお話

こんにちは。カンボジア自転車プロジェクトの安田です。今日は書籍『地雷に浮かぶ国カンボジア』のご紹介と地雷のお話です。
いつもカンボジアに関する古い本をメルカリなどで見つけては読み漁っています。ただ普段はアンコールワットの遺跡の話とかロマンにあふれる平和な書物が多いのですが、今回手に取ったのは地雷のお話です。
カンボジアとかかわることになって、この国がかかえる社会問題や悲しい歴史のことを少しだけ学びました。そのなかでも地雷は強く印象に残りました。
自転車プロジェクトでカンボジアの渡航を繰り返すなかで2017年にシェムリアップの地雷博物館を訪問しました。
カンボジア訪問記2017(3)【番外編 2017/12/02 初シェムリアップ!トゥクトゥクドライバーと大喧嘩。そして地雷博物館の巻!】
そのときのブログに地雷に関する色々なことをつづっています。
地雷はお弁当箱よりも小さい。大量生産するので原価は1個1ドルぐらいだそうです。そしてこの地雷は踏んだ人を殺さない程度の爆薬しか入っていません。でも踏んだ脚は吹っ飛びます。だから歩けなくなる。でも生きてるから見殺しにできません。両脇で2人の兵士が抱えていくわけです。だから3人の兵士を疲弊させ、そして治療やその後の生活において敵国のお金をどんどん使わせようという意図があります。
(中略)
カンボジアは今は内戦も終わっていますがまだ埋められた地雷がたくさんあります。かなり改善されていましたが、まだ地雷の被害に合う人が後を絶ちません。そのほとんどは子ども。そして家畜です。あとに出てくる「Danger! Mine!(英語とクメール語併記)」の字が読めず、遊んでいるうちに駆除していないエリアに入ってしまうとのことです。
駆除は少しずつしか進みません。まだ何万個と埋められていると推測されています。これはカンボジアだけではありません。世界の色々な国が同じことになっています。そして、まだ戦争で地雷が埋められています。ということは地雷を作っている国や企業もあるということです。
原価1ドルの地雷。見つけ出して処理するには1個1,000ドルかかるといった反戦活動家の言葉があります。地雷が埋められるのは国境付近が多いです。だから農村エリアが中心。義足で農作業ができなくなってどうやって家族はやっていくのでしょうか。やりきれない思いがどんどん湧き上がってきます。
今回の書籍は1995年に出版されたものです。もう30年以上前です。私が24歳。新卒でシステムエンジニアとして社会人デビューした年。
その1995年頃のカンボジアは、内戦の終結へ向かいながらも、まだ深い傷跡を抱えていた時代でした。1993年には国連主導による総選挙が行われ、新しい政府が誕生しましたが、国内はなお不安定で、クメール・ルージュによる武装活動も一部地域で続いていました。特にタイ国境周辺では地雷被害が深刻で、農地や道路、学校周辺にも地雷が残されていました。長年の戦争で道路や橋、学校などのインフラも破壊され、人々の暮らしは非常に厳しい状況でした。その一方で、日本を含む国際社会による復興支援が本格化し、カンボジアは少しずつ「平和な国づくり」へ歩み始めていました。
「そこから30年経った現在、カンボジアの地雷問題はどうなったのだろう?」と思い文献をあさってみました。1つの報告書を見つけたので引用して要約します。
以下、上記PDFの要約です。
カンボジアの地雷除去はどこまで進んだのか?
カンボジアでは、1960年代から1998年まで続いた内戦や周辺国との紛争によって、大量の地雷や不発弾が残されました。特にタイ国境に近い北西部では、世界でも有数の地雷汚染地域となっています。
しかし現在、地雷除去は大きく前進しています。
対人地雷禁止条約関連資料によると、1992年から2025年6月までに、カンボジアでは約34億平方メートルの土地が安全化されました。また、処理された爆発物は約444万点にのぼり、そのうち約120万個が対人地雷でした。
この地雷除去によって、
・農地として利用できる土地が増えた
・道路整備が進んだ
・学校へ安全に通えるようになった
・村の移動や物流が改善された
など、地域の生活と経済に大きな変化が生まれています。
一方で、課題も残っています。
2025年7月時点でも、約524平方キロメートルの地雷汚染地域が残されているとされています。特に山岳地帯や森林地域、タイ国境周辺では、除去作業が難航しています。また、新たに発見される地雷地域も存在します。
被害者数は大きく減少したものの、1979年から2024年までの累計死傷者数は65,086人に達しています。2024年だけでも49人が死傷し、そのうち12人が亡くなりました。
カンボジア政府は「2030年末までの対人地雷除去完了」を目標に掲げています。しかし、その達成には継続的な国際支援や資金援助が不可欠です。
(要約ここまで)
日本もJICA(国際協力機構)を通じて、長年にわたり地雷除去や人材育成などの支援を続けています。地雷除去を支援するNPOやNGO団体も多数存在ます。
地雷除去は単なる危険物処理ではありません。子どもたちが安心して学校へ通い、人々が農地を使い、地域が発展していくための「未来づくり」でもあると思います。
現在も地雷除去は続いている
先に要約で記載した通り、まだ524平方キロメートルのエリアに地雷が残っているとされています。
「どこの州・エリアなんだろう?」と思って、また調べてみましたら、別のホームページに文献がありました。
https://english.news.cn/20240326/d8e2048e8e774668ad04848bda60d9ea/c.html
| 州名 | 特徴 |
|---|---|
| Siem Reap★ | 北西部に汚染地域 |
| Ratanakiri | 不発弾問題も大きい |
| Battambang★ | 特に地雷密度が高い |
| Koh Kong | 山岳・森林地域 |
| Pursat★ | 国境地帯に汚染 |
| Pailin | 元クメール・ルージュ拠点 |
| Banteay Meanchey★ | 最重度汚染地域の一つ |
| Oddar Meanchey | タイ国境沿い |
| Kampong Thom★ | 内陸部に残存 |
| Preah Vihear★ | 山岳・国境地域 |
自転車プロジェクトでもおなじみの州名が出てきました。自転車クラブがあるところを★で記しています。このリストの州全体が地雷原というわけではなく、安全なエリアと地雷除去中の危険なエリアに分かれるわけで、自転車プロジェクトは安全なエリアで行われています。子どもたちが自由に学校に通うエリアなので当然です。そうだとわかっていたとしても身近な名前の州にまだ地雷が残っていると思うと複雑な気持ちになります。
世界ではまだ地雷が作られたり使われたりしている?
この質問の答えは残念ながらもちろんYesです。
どこの国で?と思って調べてみました。
https://the-monitor.org/online-reader/landmine-monitor-2025
こちらのレポートによりますと、
ロシアがウクライナとの戦争で・・・
ミャンマーが国内紛争で・・・
北朝鮮が中国と韓国の国境付近で・・・
イランがパキスタンやアフガニスタンの国境付近で・・・といった記述がありました。
アルメニア、中国、キューバ、インド、イラン、ミャンマー、北朝鮮、パキスタン、ロシア、シンガポール、韓国、ベトナムの計12カ国が開発や生産などを行う設備等を保有しており、そのうちインド、ミャンマー、ロシア、韓国は、対人地雷を積極的に生産または開発しているという説明もありました。
死傷者について、2024年には、地雷および不発弾による死傷者が少なくとも6,279人(死者1,945人、負傷者4,325人、不明9人)で、2024年に記録された地雷/不発弾による死傷者数は、2020年以降で最多の年間死傷者数となったそうです。
冒頭で紹介した本の中では、地雷は軍事兵器ではあるけれども、汚染というか中毒性というか身近にあればあるほど民間人も普通に使う話が紹介されていました。農地を耕すために自ら地雷除去をする。その見つけた地雷を家畜盗難を防ぐために家の周りに埋める・・・といった話でした。

こちらはカンボジア訪問時に撮影した田園風景。この美しい景色。地面の下に潜む危険を心配することなく生活できる日はいつやってくるのでしょうか。カンボジア政府がかかげる2030年までの完全除去を見守りたいと思います。
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